自宅だけでは仕事環境が十分に確保できないという声を受け、共用空間に集中できるワークブースを用意する動きが広がっています。本記事では、その背景とメリット、注意点、具体的な導入事例をわかりやすく解説します。
マンション共用部に設置するワークブースとは、居住者が共同で利用できるテレワーク用の仕事空間です。
コロナ禍でテレワークが急増し、その後も多くの企業で在宅勤務が続く中、自宅の専有部だけでは集中できる仕事スペースが不足するという入居者の悩みが生まれました。この課題に対応するため、マンションの共用部に個室型やオープン型のワークブースを設ける動きが広がっています。テレワークの定着が住まい方にも変化をもたらしている背景があります。
マンション共用部にワークブースを設置することで、他物件との差別化要素が生まれ、物件自体の魅力や市場評価が向上します。テレワーク需要の高まりを受け、在宅勤務に対応した設備として訴求できるため、入居希望者の関心を引きやすく、空室率低下や募集条件の改善につながります。
共用部のワークブースは、入居者向けの有料利用オプションとして提供すると、管理組合やオーナーにとって新たな収益源となる可能性があります。利用料やサブスクリプションモデルを導入すれば、設備運用費の補填だけでなく、長期的な収益の増加に寄与する戦略的投資となり得ます。
テレワーク等の多様な働き方に対応する共用ワークブースは、入居者の生活利便性を高める設備として評価され、満足度向上に直結します。また共用空間での相互利用を通じて住民同士の交流機会が増え、建物全体のコミュニティの質向上にもつながる点が、長期入居の促進や管理運営の安定にも寄与します。
マンション共用部にワークブースを設置する際は、既存の用途や構造が建築基準法に適合するかの確認が必要です。用途変更となる場合、共用室がオフィス的利用に変わることで防火区画や換気、採光・避難経路などの基準が変わることがあります。共用部の用途・構造に変更が必要かどうか、設計図・基準に照らし合わせて専門家の確認を行い、後のトラブルを避けましょう。
ワークブース設置にあたっては、特定行政庁(都道府県・市区町村)の条例や指導基準の確認が欠かせません。マンション共用部の用途変更や共用施設の追加に関しては、地方自治体ごとに防災・衛生・建築関連の独自規定がある場合があります。管理会社としては、事前に所轄行政と協議し、必要な届出や承認手続きを明確にしておくことで、設置後の指導・是正勧告を回避し、円滑な運用につなげることが重要です。
共用部にワークブース(特に個室型)を設ける場合、消防法上の防火対象物としての要件を満たしているか確認が必要です。個室ブースが天井・壁で囲われると「居室」とみなされ、感知器・スプリンクラー・防火設備の設置義務が生じるケースがあります。特例として一定条件(床面積6㎡以下、不燃材料等)で免除される場合もありますが、管理会社は所轄の消防署と事前相談し、必要な設備・申請・点検計画を確立しておくべきです。
ワークブースを安全・公平に運用するため、使用ルールや予約システム、利用者管理体制を設計することが重要です。利用時間帯、予約方法、入退室管理、清掃・消毒ルール、騒音・プライバシー配慮、施設損耗時の責任範囲などを明確化し、管理規約に反映させておく必要があります。また、共用施設としての運用負担を削減するため、オンライン予約システムの導入やQRコード管理、利用者への案内・同意書の整備も検討しましょう。
株式会社ジェーピーディーエイチとYADORIGI株式会社は、東京都大田区の賃貸マンション「ディアレンス池上南EAST」ロビーに、リモートワーク用の可動式ワークブース「プライベートボックス」を設置しました。賃貸マンション共用部へのワークブース設置は全国初(同社調べ)で、居住者がWEB予約で無償利用できる仕組みです。背景には在宅勤務の増加と自宅で集中できないという声があり、法令確認から予約システム導入まで一括でコーディネートしています。
参照元:PR TIMES公式サイト
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000082167.html)
東急不動産は埼玉県所沢市の新築分譲マンション「ブランズタワー所沢」にて、新しい生活様式に対応した共用施設として共用部にワークブースを導入しました。フルクローズ型のワークブース「TELECUBE by OKAMURA」を設置し、遮音性や快適性を確保するとともにウイルス対策機器も配備し、テレワーク環境と安全性を両立しています。住まいの中での仕事と暮らしを支える新しい共用スペースのモデルケースとなっています。
参照元:東急不動産公式サイト
(https://www.tokyu-land.co.jp/news_data/1fd1e49405d2d788697caf4f3ed9af9f.pdf)
JR西日本プロパティーズは東京都大田区の賃貸マンション「ディアレンス池上南EAST」ロビーに可動式ワークブース「プライベートボックス」を設置しました。在宅勤務の増加で「自宅に仕事場所が確保できない」などの声がある中、共用部でのテレワークスペース提供は同社として初めての取り組みで、全国的にも新しい試みです。居住者は専用予約サイトから無料で利用でき、多様な働き方に対応する賃貸物件の創出を目指しています。
参照元:JR西日本プロパティーズ公式サイト
(https://www.jrwp.co.jp/assets/news/pdf/telework_booth.pdf)
マンション共用部にワークブースを設置する取り組みは、テレワークの定着に対応した新しい住まいの価値創出です。コロナ禍をきっかけに在宅勤務が拡大し、その後も働き方が多様化する中、自宅だけでは十分な仕事環境が確保できないというニーズに応えています。
共用ワークブースは入居者に集中空間を提供するだけでなく、建物全体の魅力向上や差別化につながり、今後のマンション運営・資産価値向上の重要な施策として注目されています。
選定条件
「ワークブース」「個室ブース」「テレワークボックス」「リモートワークボックス」のGoogle検索で見つかったフルクローズ型のワークブースを取り扱う41社の中から、下記条件で選出。(2023年1月11日時点)
ワークブースでの作業効率を高めたい会社向け…CAP-CELL:41社のうち唯⼀特許取得のエアコン機能搭載
大きな会議室の使用効率を高めたい会社向け…TELECUBEbyokamura:41社のうち4⼈ブースのラインナップ最多
手軽に移動できるブースを設置したい会社向け…Easy Booth:41社のうち軽量で個室ブースの公開価格が最安
作業環境重視
充実の設備を搭載したワークブース
引用元:株式会社オリバー公式HP
(https://place2-5.oliverinc.co.jp/office_furniture/products/swb-f750s4/)
株式会社オリバーの「CAP-CELL」「CAP-CELL Lite(カプセルライト)」は、いずれも遮音性のある完全個室空間で集中できる環境を提供し、さらにダウンライトなどリラックス効果を高める内装デザインを施しています。標準設備の換気扇に加え、オプションでエアコン付きソファを導入すれば、長時間の使用や暑い夏でも快適に作業に取り組むことができます。
| 収容人数 | 1人用/2人用/4人用 |
|---|---|
| サイズ | 1人用:W1,200・D1,200・H2,370 2人用:W2,400・D1,200・H2,370 4人用:W2,000・D1,600・H2,370 |
| 設備 | 住宅用下方放出型簡易消火装置、ダウンライト、AC電源+USB+スイッチ、換気扇、アジャスター+キャスター、コートフック |
サイズ重視
使用人数に合わせたワークブース
引用元:株式会社オカムラ
(https://www.okamura.co.jp/office/lp/workbooth/)
株式会社オカムラのワークブース(TELECUBE/SnowHut)は、周囲からの雑音・雑念を排除して、自分の仕事や作業に集中したい人におすすめです。「TELECUBE by okamura」「SnowHut」は、いずれも防音対策・防視対策が図られており、周りの話し声や騒音、視線を気にせず1人の業務に集中できます。
| 収容人数 | 1人用/2人用/4人用 |
|---|---|
| サイズ | 外寸:1000W×1200×2325H(1人用) |
| 設備 | 遮音性・防火性、グラスウール内蔵、換気ファン、人感センサー、抗ウイルスメラミン仕様 |
価格重視
とにかく安いワークブース
引用元: 株式会社CONOC公式HP
(https://workbooth.conoc-dx.co.jp/)
CONOCが提供するEasy Boothは、ワークブースを手軽に導入したい人におすすめです。ダンボールを使用したブース本体は総重量が約40kgですから、設置や移動がラクラクなのはもちろん、設置後のレイアウト変更も容易になります。
| 収容人数 | 1名 |
|---|---|
| サイズ | 外寸:幅1270mm×高さ1900mm×奥行900mm |
| 設備 | デスク・電源・照明・換気ファン |